スペースがなくても栽培できるバラ

スペースがなくても栽培できるバラ

バラは大きく育ちたくさんの花が咲き、栽培するスペースが狭くてバラ栽培は難しいかも・・・と諦めていた人にも、小さな庭や大鉢でも栽培できるバラを紹介します。

ジャクリーヌ・デュ・プレ

カップ咲きの白い大輪花に赤い花芯が美しく目を引きます。花つきがよく、花は数輪の房で開花します。花もちはやや悪いですが、早咲きで、春以降も秋まで次々とよく返り咲きます。秋まで花を楽しみたい場合は花がら切りが必要不可欠です。開花すると枝の先端に集中しがちなので、株全体に咲かせたい場合には、段差をつけた剪定、誘引をするとよいです。花枝は短くトゲが多く、シュートは斜め上に約2.5m長さが伸びます。小型のフェンスやオベリスクなどに向きます。柑橘系とスパイス香を混ぜたような強い香りがあります。品種名はイギリスのチェロ奏者で天才チェロリストと呼ばれる、デュ・プレの名がついています。病気で視力が弱まった後に嗅覚でこのバラを自身で選んだそうです。

アンジェラ

鮮やかで可愛らしいローズピンクのカップ咲きです。花は数輪から大房の小輪花を咲かせます。花もちがとてもよく、満開時には株いっぱいに花が覆われます。やや遅咲きで、春以降も秋までよく返り咲き、花弁は雨などでも傷みにくいです。シュートは約2.5m長さが伸び、しなやかで誘引しやすいですが、枝先は細かく分枝するので不要な枝は剪定する時に根元から切るとよいです。強健で、小型のフェンスやオベリスク、アーチなどさまざまな支持物に誘引ができます。伸びた枝を冬に切り詰めると木バラのような姿で開花します。生育が盛んなため、つるバラとして扱うことがあります。

ローゼンドルフ・シュパリースホープ

淡いピンク色の丸弁平咲きで、花弁の先は波うつようになります。花つきがとてもよく、数輪から大房で開花します。花弁は雨などでも傷みにくく、やや遅咲きで、春以降も秋までよく返り咲きます。樹勢が強く、耐病性もあります。花枝は太く、シュートは大きなトゲがあります。伸長は2mほどで、シュートの茎の節と節の間の部分が短く、しなやかに誘引できます。年月が経つと、株元からシュートは発生しにくくなります。小型のフェンスやオベリスク、アーチなどに誘引できます。伸びた枝を冬の間に切り詰めてもコンパクトに開花します。

レッド・キャスケード

つる性のミニチュアローズ。深く濃い赤色のカップ咲きで、数輪から大房で開花します。濃い色のため、花が日やけすることもあります。花つき、花もちがとてもよく、春以降も秋まで繰り返し咲きます。枝は細くしなやかで、低いフェンスやオベリスク、アーチ、グラウンド・カバーに向きます。樹勢が強く、伸びた枝を冬の間に切り詰めてもコンパクトな姿で開花します。うどんこ病、黒星病に注意が必要です。

ブリッジ・オブ・サイ

茶色を含んだオレンジ色の花は、開花後にアプリコット色に変化し花弁の先は尖っているのが特徴です。花つきがとてもよく、フルーツの香りとスパイスの香りを混ぜたような香りがあります。花もちはやや悪く、早咲きで、春以降も夏までは返り咲きますが、秋の花は少ないです。開花後に実がなりやすいので、返り咲かせたい場合は花がら切りが必要不可欠です。花枝は細く短く、シュートは直立に約2m伸びます。小型のフェンスやオベリスクなどへの誘引に向いています。品種名は16世紀に架けられたヴェネチアの白い大理石でできた「ため息橋」に由来しているそうです。

プロスペリティ

白色の半剣弁カップ咲きで後に平咲きになります。数輪から大房で開花し、春の花つきがとてもよく、花もちもよく長く咲き続けます。春以降も返り咲きます。スパイス系の香りがします。花枝は細く短くしなやかさがあり誘引しやすく、シュートは半横張り性で弓状に伸び、分枝性がよいです。約2m長さに伸びます。小型のフェンスやオベリスク、アーチに向きます。強健で黒星病に耐性がありますが、うどんこ病には注意が必要です。プロスペリティとは繁栄、成功という意味をもっています。

バフ・ビューティ

白色に黄色がかった花色をしており、数輪から大房で開花するロゼット咲きです。花つきがよく、主に春と秋に開花します。花首は細くうつむきかげんに咲くので、目線より高い位置で咲かせても美しい品種です。花枝は堅くやや短く、シュートは半横張りに弓なりに伸びます。約2mの長さに伸びます。シュートを誘引する時に無理をすると根もとで折れやすいので、伸び始めたら仮誘引で方向を調整することが大切です。小型のフェンスやアーチ、オベリスクに向いています。甘いムスクの香りがあります。

カクテル

大変目立つ赤い花弁に中央が黄色い一重咲きのバラです。開花後は退色し、 黄色い花芯は翌日には白くなります。数輪から大房で開花し、花つきがよく、満開時は株が花で覆われ美しさを感じます。春以降も秋までよく返り咲き、花弁は傷みにくいです。枝は細く柔軟ですので誘引しやすく、小型のフェンスやアーチ、オベリスクに向きます。耐病性にすぐれています。

ガラシャ

淡いピンク色の一重咲きで、とても柔らかい雰囲気を感じます。花つき、花もちがとてもよく、満開時には株が花で覆われます。遅咲きで、春以降も秋までよく返り咲き、花弁は雨などでも傷みにくいです。花がらを残すことで赤いローズ・ヒップを楽しむことができます。花枝は短く細めで、シュートは横に伸び、花の重みでやや垂れ下がります。約1.5m長さが伸びます。

淡雪(あわゆき)

清純な白の一重咲きの花は、花つきがよく、満開時には株が花で覆われ、春以降も秋の終わりごろまでよく返り咲きます。シュートは弓状に約1.8mの長さが伸びます。先端部分は細かく分枝しますので必要のない枝は剪定の時に根もとから切ります。「美しい花には棘がある」という、ことわざがあるように、鋭いトゲが多くあります。グラウンド・カバーとしての植栽や、小型のフェンス、オベリスク、アーチにと幅広く栽培することができます。ほどよいくらいのスパイスの香りがあります。

スノー・グース

アイボリーがかった可愛らしい白のポンポン咲きです。花つきがとてもよく、つるバラでは珍しく、春以降もよく返り咲きます。花がらを落とすと、小さなオレンジ色の実がつき楽しむことができます。花枝は細くしなやかで、トゲが少なく、シュートは直立に約2m伸びます。誘引しやすく、壁面やフェンス、アーチ、オベリスクを美しく飾ります。樹勢が強く、耐病性にもあり初心者でも挑戦しやすいバラです。スパイスの香りがあります。

メアリー・ローズ

ピンクのロゼット咲きで、イングリッシュローズという新しい品種を作りだす時に基礎となったバラです。花つきがよく、春以降もよく返り咲き、秋の花つきもよい品種です。花枝はトゲが多く、細めで短いです。強健で耐病性にもすぐれています。シュートは直立に約2mの長さに伸び、小型のフェンスやアーチ、オベリスクへの誘引がしやすいです。さわやかなアニスの香りがあります。

サマー・ドリーム

アプリコット色のカップ咲きで、数輪の房咲きで開花します。花もちがよく、花弁は傷みにくいです。「夏の夢」という花名から秋まで返り咲くのかな?と思いましたが、春以降は涼しい地域では秋までよく返り咲くそうです。樹勢は強く、花枝はやや細く堅く短く、シュートは直立に約2.5mの長さに伸びます。フェンスやオベリスク、アーチへの誘引に向きます。

羽衣(はごろも)

やわらかいピンクの花弁は裏側の色が濃く、半剣弁から剣弁の高芯咲きです。一輪から数輪の房咲きになります。その花色からは「羽衣」という花名のように天女が纏う衣装を想像します。花つきがよく、春以降も秋までよく返り咲きます。実を結びはじめやすいので、花がら切りは必要不可欠です。枝は大きなトゲが多く、シュートは斜め上に約2.5mの長さに伸びます。フェンスやオベリスク、アーチにと幅広く栽培することができます。樹勢、耐病性に強く、青りんごのようなティー系の香りがあります。

宇部小町(うべこまち)

日本で作出された淡い桃色の花は、房咲きで咲き、開花後は白く退色していきます。花つきが素晴らしく、満開時には2色咲きのように見え美しいです。遅咲きで、春以降はまれに返り咲くことがあります。花枝は細く短く、しなやかで思いのままに誘引ができます。小型のフェンスやオベリスク、アーチでの栽培ができます。樹勢が強く、耐病性にも強いですが、ハダニには注意が必要です。

カルディナル・ドゥ・リシュリュー 

濃い色が多いとされるガリカ系の中でも、一番濃い紫色をしているバラです。花色が濃赤紫から青紫に移り進んでいきます。トゲがほとんどなく、葉が平坦であることから、チャイナ系統との交雑種ではないかともいわれています。数輪の房咲きで、花がこぼれるように咲きます。黒星病に注意が必要ですが、病気の広がりは遅いです。

ブラッシュ・ノアゼット

淡いピンクが可愛らしい半八重咲きの小輪花は、10~20輪の大房になります。花つきがよく、返り咲き性ですが、四季咲き性のようによく咲きます。花壇やアーチ、フェンスなど様々な栽培に適しています。アメリカに住んでいたフランス人園芸家のフィリップ・ノワゼットが、チャンプニーズ・ピンク・クラスターをパリに住む兄のルイ・ノワゼットに送り、ル・ロジエ・ドゥ・フィリップ・ノワゼットとして発表しました。これが後からブラッシュ・ノアゼットと呼ばれるようになりました。

クレパスキュール 

花弁の色は濃淡のあるオレンジですが、高温期には黄色が強くなります。横に広がりやすいので、低いフェンスやアーチなどに誘引するのに向いています。広い場所なら自然樹形でも栽培できます。花つきがよく、耐暑性が強く、病気にも強いので育てやすい品種です。ただし多肥によるうどんこ病には注意が必要です。フランス語で「黄昏」を意味します。夕焼けの名残の色を感じる花名です。

バラ栽培を諦めないで

オベリスクやアーチ、オブジェで高さと低さ出すことで、上から下までをたくさんの花で覆われ、より広がりを感じ立体的に見せることができます。そのために品種選びもポイントがあります。まずは、花つきのよい品種を選ぶことです。つるバラは枝を曲げると花を咲かせる習性が一般的には多いですが、枝を曲げなくても花をつけることが期待できる品種を選ぶとよいです。中でもオベリスクの場合は、枝が細く曲げやすく、ステム(花茎)が短い品種であることもポイントです。誘引した時に花が浮き上がって咲くことがありますので美しい仕立ての為にも大切です。
また、枝を伸ばすことで2mほどになる枝の細い四季咲きの木立ち性バラなら、きれいな典型的なアーチに仕上げることができます。しかし、四季咲き性の品種は長さが伸びるのに時間がかかるので、アーチに四季咲き性とオールドローズなどの長さが伸びるのが早いつるバラを使用すると、四季咲き性バラで年中花を楽しむことができます。

【ポイント】
・枝がやわらかく、葉はやさしい雰囲気の品種を選ぶと、あたたかさを感じます。
・たくさんの種類のバラを栽培するよりも、色に統一感があるほうが落ち着きのあるように見えます。

バラをもっと楽しむ

せっかく育てた美しいバラを写真に残してみませんか?花をきれいに撮るポイントをおさえて是非写真を撮ってみてください。

まず第一に、きれいに咲いている花を選びます。花びらの形、傷みや汚れ、虫喰いなどがないかを念入りに見ます。どこに惹きつけられて、その花の一番美しい角度はどこかを考えます。
次に1枚や2枚ではなくたくさん撮ってみます。花の角度を変えてみると光の当たり方で印象が違ってきます。何枚も撮っているうちに、素敵な撮影角度を見つけることができます。花の撮影はくもりの日が丁度よいと言われています。よく晴れた日は光が強く、色とびをすることがあり、花びらに影が強く出ることがあります。あえて逆光で写すと影が気にならずに写真が撮れることがあるので試してみてくださいね。花の上下左右に白い紙を当てて光を散乱させると美しく写真に残せるかもしれません。
また、写真を撮る時の背景に余計なものが写らないように注意します。自分の影が写り込んだりしないように立つ位置を変えたりすることでお気に入りの写真を残してみてください。