中世のヨーロッパでは、花言葉は、男女がお互いの気持ちを確かめるための大切な目的を 持っていました。そのため恋愛感情に関するものが多くなっています。男性は、思いを寄せる女性へ直接気持ちを伝えるのではなく、花に気持ちを委ねて贈りました。その花を受け取った女性も、花に気持ちを託して相手に贈っていたそうです。花言葉の習慣が広まるにつれて、より自分の気持ちを表現できる花を探し、様々な花言葉をつくりだしてきました。
また、花言葉はヨーロッパの社交界で好まれていたといわれています。英国の貴族の女性たちは花に思いを託して楽しんでいたようです。
バラの花言葉
バラは「美」や「愛」を象徴する花とされています。花色によって花言葉は違いますが、バラ全体の花言葉は「美」「愛情」を意味しており、トゲは「不幸中の幸い」、蕾は「愛の告白」の花言葉があります。
バラの語原は古代ケルト語で「赤色」を意味する言葉だったそうで、西洋では女性を表す花といわれているそうです。
赤バラ
花言葉:情熱、内気
神話によると赤バラは、10月13日の誕生花で、燃える色を連想することから「情熱」や、愛の女神に捧げられたことから「愛情」を意味する花でもあります。
キリスト教のずっと前のヨーロッパでは、赤いバラはヴィーナスの花といわれ、愛と感覚器官の象徴であるとされ、花言葉もここからきたものとされていたそうです。キリスト教が広まってからは、キリストの血を意味する花ともされています。
赤バラは恋占い
秋にバラが咲くことはドイツでは、結婚式を意味し、バラの花の中から、緑色の花びらが生えてくると、その次の年にお嫁さんが訪れる前触れといわれているそうです。
お互いに相手のことを思い合っている場合は、小さな川にバラの花びらを投げ入れてみて、その花びらが離れることなく水面に流され浮かんでいたら、二人は夫婦として一生添い遂げることを意味するそうです。
白バラ
花言葉:純潔、私はあなたにふさわしい、尊敬
神話によると白バラは、7月8日の誕生花で、濁りのないまっさらな色を表すように「純潔」を意味する花言葉となっています。父の日に白バラを贈る習慣ができてからは「尊敬」という意味の花言葉としても知られるようになりました。
白バラは死の暗示
白いバラが秋に咲くことは、死の象徴といわれています。花をつける柄の部分がありますが、一つの柄に3つのバラがついたものを見つけると不幸が起きるといわれていたそうです。 そのため、家族の死を意味する遅咲きのバラは嫌われていました。
また、病人にとってバラの夢を見ることは死が訪れる前触れとされ、お見舞いの花としては避けられているそうです。
ピンクのバラ
花言葉:一時の感銘、気品
神話によるとピンクのバラは6月4日の誕生花で、「感銘」の花言葉のように尊敬する気持ちや、友人に対する親愛の気持などを表しています。また、初々しい乙女の心の中の想いや初恋を思わせることから「私の心はあなただけが知っています」と、ピンクのバラで秘めやかな愛を伝えることができます。
その他にも、控えめなことから「気品」という意味の花言葉もあります。
黄バラ
花言葉:嫉妬、愛情の薄らぎ
神話によると黄バラは2月2日の誕生花で、他のバラの花言葉と比べて「嫉妬」と、い意味ではありません。これはヨーロッパではかつて「黄色」という色そのものが「裏切り者」や「身分の低い者」を表していたことにちなみます。しかし現在では温かみのある色とされ、黄色いバラへの印象も変わってきています。実際の黄色のバラは優雅で上品なものが多いので花言葉を気にすることなく栽培したいバラのひとつです。
青バラ
花言葉:夢かなう
バラに限らず、数ある花の中で最も色数が少なく、青は憧れの花色でした。
かつて赤・白・ピンク・黄色のバラはあっても、青いバラだけは存在していませんでした。自然では存在し得ない色味から、「不可能なこと」という意味が青バラにつけられたくらいでした。世界中のバラ愛好家にとって、青バラはないものねだりでした。
ローマ神話では、花の女神フローラが特別に大切にし、愛していたニュンペーの遺体をバラに変えた時、死を予感させ好ましくないという理由から青バラは存在しないとされていたそうです。
その実現しなそうな青バラに夢を見た人々が何度も何度も交配を繰り返し行い、バラに青色を抑制する遺伝子があることを見つけ、その遺伝子を取り除き、青色を出す遺伝子を組み込むという人口交配を行い得た成果が、現在青バラと呼ばれる青紫色のバラです。
色から連想する
赤
遥か昔から世界中で、生物が生き続けるための根源の力とされるカラー
赤は人類が進化する道のりの中で、比較的初めの頃に認識されたとされる色です。力やエネルギー、活動力にあふれた色とみられており、赤い色が勝負服として使われるのもこのイメージからくるからでしょうね。また、ケガや出産などで血が流れることから、赤が血の色と直接結びついており、生死にかかわる色ともされています。狩猟中に流れる血を見ると、脳が興奮状態になったり、血圧が上がったりするそうです。
さらに、太陽や火、炎の色から、強いパワーあふれる色とされ、治療や魔除けになると考えられてきました。神社の鳥居が赤いところは魔除けを意味していたのですね。
赤い花を贈るということ・・・
赤いバラの花束は女性なら一度は憧れるものですよね。男性の求愛のシンボルとも捉えられ、情熱的な愛を伝える手段として圧倒的な意味を持っています。お互い好意を持っているなら最適ですが、受け取る相手によっては重荷になることもるので注意が必要です。
白
光を象徴するカラー
まだ電灯や電気がないころの人類にとって、昼か夜かがとても大切だったころ、夜は光がなく物がよく見えない暗闇は怖い存在でした。夜の暗い闇に怯え、恐怖心が大きいほど、昼の光のある明るさを価値のあるものとして大切にし、人間を救うすばらしいものとされていました。 光の色を想像するとあたたかみのある黄色もありますが、白には気が引き締まるような神々しさを感じさせます
白の花を贈るということ・・
花の世界ではウエディングに欠かせない色として定番のカラーですが、花嫁が純白なのは「あなたの色に染まりたい」「嫁ぐ先の色に染まる」「死ぬまで帰らない」などの強い意味をもっています。そのため、贈り物として使用する時にはアイボリーやオフホワイト、緑の花などを合わせた工夫が必要です。
ピンク
愛されカラーの代表
ピンクは柔らかくやさしいイメージから、女性らしさを感じる色です。穏やかでぬくもり感もあり、健康や幸福の象徴とされ好まれています。
ピンクの花を贈るということ・・・
心地よく感じる、幸福感につながる色で、「愛したい、愛されたい、甘えたい」という気持ちを伝えたり、心休まる色なので花を贈るときに選ばれることが多いかもしれません。しかし、ピンクのイメージからくる甘さを子供っぽいと捉えることもあるので贈る相手の好みを知っておくと良いと思います。
黄色
あたたかみがあり、元気なイメージをもつカラー
白と同じように黄色も光を表す色で、光のあたたかさを感じるカラーです。錆びることがなく腐敗しない黄金に共通するものがあることから、「不死」や「永遠」を意味していました。黄色には希望や喜び、幸福などのイメージをもっています。
黄色の花を贈るということ・・・
親しみや好感的な感情を表すことができる色ですので、贈り物に向いています。前向きな気持ちになれたり、気分が高まったりするので元気づけたいときにぴったりです。
青
世界中で人気のカラー
世界の人の好きな色ランキングでもベスト3に入るほど、青は誰にでもと言えるほど多くの人に好まれる色です。人類が初めて青を目にしたのが、広く大きな空や海であったことから青には神秘的や不思議さ、自由であり非力さを身にしみて感じたことから孤独感などのイメージをもちます。
青の染色料が貴重だったヨーロッパでは、聖母マリアの身につけている色とされていました。「ロイヤルブルー」と呼ばれ、ギリス王室の公式カラーとして特別な扱いを受けています。
また、新郎新婦の永遠の幸せを願った色として「サムシングブルー」や、幸福のしるしといわれる「青い鳥」の話など、青にまつわる話があります。
青い花を贈るということ・・・
青は花色としては珍しいものとして大切にされていますが、贈り物となると冷たい印象を与えることがあります。青い花を贈るときは、レモンイエローと合わせるとあたたかみを出すことができます。
贈り物
せっかく贈るなら花を喜んでもらうために、贈られる相手の気持ちを考えることが大切です。花を贈るシーンによっては誤解を招くこともありますので、色選びなどポイントを紹介します。
結婚祝い
記念的で喜ばしい結婚祝いでは白やピンクを基調とした明るい雰囲気の花が人気です。花嫁が好きな色や花を選んだり、幸せを願ってサムシングブルーを取り入れた花束も喜ばれます。結婚式直前は準備などで忙しいため、式の1週間前には届けるようにします。黄色いバラは「嫉妬」という花言葉をもち、結婚祝いには避けるように注意が必要です。披露宴の場で贈る場合は、花嫁のドレスに合わせて選ぶようにしたりと事前に確認しておくとよいと思います。
誕生日祝い
誕生日のお祝いの花を贈るには相手の好きな花や、誕生月、イメージに合った花を花屋さんに伝えると、それに合わせてアレンジを考えてくれます。「愛情」や「情熱」などの花言葉をもつ花は、恋人への贈り物に最適です。赤いバラなら本数によって意味も変わってくるので、自分が伝えたい気持ちを表す本数を選んだり、年の数だけ贈るのも素敵ですね。サプライズなどで宅配便で贈る場合は、当日不在で受け取れなかったということがないように誕生日の前日までに届くようにします。誕生日の日付とともに、普段言葉にできない気持ちをメッセージカードに添えて贈ると喜ばれると思います。
出産祝い
出産祝いは、生後すぐには落ち着かないので、母子ともに無事に退院し、生後1週間程度経ち、1カ月以内に贈るのがマナーです。相手の好みが分かる場合は好きな花を選ぶとよいですが、分からない場合は派手な色ではなく、淡く優しい色合いの花を中心とし、水替えなどの手間のかからないアレンジメントフラワーとベビー用品を一緒に贈ると喜ばれると思います。赤ちゃんのためにも、香りの強い花や、花粉の落ちる花は避けます。
送別会
送別会に贈る花は、持ち帰るときのことを考えて選びます。電車やバスで移動する場合は、あまり大きな花束にならないように片手で持てる大きさになるように注意します。相手のイメージに合った花を贈るようにしますが、花言葉などでふさわしくないものもありますので花屋さんに相談してみるのもよいでしょう。転職される方へは、新しいスタートへのエールを込めて前向きな花言葉をもつ花や、明るいイメージの花を選ぶようにします。定年退職や結婚退職の方の場合は、お祝いと感謝の気持ちを込め、明るく華やかな色合いのものにメッセージカードを用意すると喜ばれると思います。
新築・引越・開業祝い
新築や引越のお祝いでは、部屋に合った花を選びたいですよね。ですので、淡い色合いのものを選ぶのが無難といわれています。赤い花は火=火事を連想させるため、新築や引越祝いではタブーとされています。観葉植物を贈る場合はインテリアや部屋の雰囲気に合わせることが大切ですので、あらかじめ相手に希望のものを聞いておくと失敗しないと思います。オフィスなどの開業祝いには、基本的にお手入れがほとんど必要とされない観葉植物も喜ばれます。
お見舞い
病気で入院している時は不安を感じていることが多いですよね。相手の気持ちが穏やかになるような、優しい色合いの花を選ぶようにします。鉢植えの花は根が底についていることから「根付く」=「寝つく」という意味があることからタブーとされています。大きすぎないアレンジメントフラワーで、香りの強くないものですと病室にも飾りやすいとされています。また、掃除が大変なので花びらが落ちないものや、血をイメージさせる赤い花は避けます。気持ちを伝えるために一言メッセージを添えると喜ばれるかもしれません。