ロゼット咲きのバラ

バラの咲き方

オールドローズに多い花型です。花弁が多く、クシュクシュとまとまっています。外側の花弁に比べて内側の花弁は小さく、丸く放射線状に広がって見える咲き方をします。
ロゼット咲きの中でも、花弁中央が4つに分かれたように見えるものをクォーターロゼット咲きと呼びます。

・ザ・ダーク・レディ 

濃く明るい赤色で美しいロゼット咲きの花は、時間が経つにつれて濃い赤紫色に変化します。大輪でとても見応えがあります。高さ100㎝ほどの横張りの樹形を形成します。イングリッシュローズの赤系の最高品種のひとつといわれており、祖先のルゴサローズに似て耐寒性にすぐれ強健な品種です。ウィリアム・シェイクスピアがソネット形式で書いた詩集に「ザ・ダーク・レディ」があり、「黒い貴婦人」に由来しているそうです。

・マリア・テレジア 

花の中心は濃い色をした淡いピンク色の中輪のロゼット咲きで、4~5輪の房咲きになります。花つき、花もちがよく、次々とシュートを出し、横張りの樹形で、樹高も150㎝ほどで扱いやすいです。生育良好で、ドイツのバラは強健な品種が多いですが、こちらのバラもとても強健で育てやすい品種です。マリー・アントワネットの母親で、女帝と呼ばれたマリア・テレジアの名前がつけられたバラです。

・ロサ・ダマスケナ 

一季咲きのピンクの花は濃厚なダマスクの香りがします。精油やローズウォーターなどの香料の原料として、ブルガリア、トルコ、フランス、モロッコなどで栽培されています。シリアの首都ダマスカスからヨーロッパへ持ち込まれたといわれていますが、生きた植物がヨーロッパへと導入されたのはもう少し後だという説もあります。別名「サマー・ダマスク」と呼ばれ、秋に返り咲くものを「オータム・ダマスク」と呼びます。

・ウィリアム・シェイクスピア2000 

大輪四季咲きで存在感のある深紅のバラは目を引く美しさがあります。豊かなダマスクの香りと、深いカップから浅いカップに変化していく姿も楽しめます。繰り返しよく咲き、秋にもしっかりと花を咲かせます。イングランドの劇作家で詩人のウィリアム・シェイクスピアの名前をもったバラです。イングリッシュローズは、シェイクスピアの作品に登場する人物の名前を持ったバラが他にもあります。

・ヘレン

可愛らしく優しい淡いピンクの中輪ロゼット咲きの花は、外側が白い色の房咲きになります。枝もしなやかで耐病性にすぐれ扱いやすい品種です。ダマスクにフルーツとティーの香りが混ざる心地よい香りがします。

・ピンク・グルス・アン・アーヘン 

杏子色がかったピンクの花はふんわりと優しい雰囲気を感じます。小さくまとまりやすい樹形で育てやすい品種です。花の中心が薄い黄色がかったフロリバンダローズ「グルス・アン・アーヘン」の枝替わりで「ピンク・グルス・アン・アーヘン」と種類が同じであることをロンドンにある王立国立バラ協会で認定されました。

・ザ・ファウン 

淡いピンクの中輪ロゼット咲きの花は俯くようにたくさん咲かせます。細い枝を残すように剪定すると花つきが良くなります。片親の「ザ・フェアリー」のよく分枝し、横張りに広がる特徴を受け継いでいます。別名「マイ・グラニー」、「グラニー」などと呼ばれます。

バラの種類~ロゼット咲きのバラ~クォーターロゼット咲き

・クロッカスローズ 

優しいクリームアプリコット色の大輪ロゼット咲きで、咲き始めはカップ咲きですが、徐々にロゼット咲きに変化します。咲き進むにつれて外側の花弁は白く薄くなり花弁中央にだけ色が残ります。四季咲き性で繰り返し花を咲かせ、ティーの香りがします。病気になりにくく、耐寒性もあり育てやすい品種です。

・ローラ・ダヴォー 

淡いラベンダーがかったピンクの小輪花は、房咲きで開花します。一斉に花は開かないので、退色して白くなった花、咲いたばかりの花、蕾など、一房の中で様々な花色を楽しむことができます。日本のイノバラの遺伝子を引き継いでおり、パーゴラやアーチでの栽培に向いています。

・イングリッシュ・エレガンス

アプリコットとピンクが混ざり合う花弁が可愛らしい花です。イングリッシュローズの中でも樹高が高くなるため、花壇の後方に植えて、フェンスに誘引したり、ポールに仕立てての栽培に向いています。花名のとおり、上品さを感じる品種です。

・メイ・クイーン 

薄紫色を帯びたピンクの中輪咲きで、枝先に房咲きになります。一季咲きで、日本のテリノイバラの遺伝子を引き継いでいます。病気全般に注意が必要です。フェンスや壁面、オベリスクでの栽培に向いています。「5月の女王」の名にふさわしい美しさを感じます。

・豊華 (ほうか)

ローズピンクの一季咲き品種で、2017年に「食香バラ」として紹介され人気となりました。 中国平陰県で食用バラとして栽培されてきました。別名「平陰重弁紅玫瑰」と呼ばれています。ダマスクにスパイスが混ざった香りがします。苦味や渋みがほとんどなく、生のままでも食べることができるバラです。

・ロサ・ダマスケナ・トリギンティペタラ

やわらかい雰囲気のピンクの花弁で、トリギンティペタラとは「30枚の花弁」という意味をもっています。ダマスクの香りは古代から愛されていたといわれており、今でもブルガリアのスタラ・ザゴラ州にあるカザンラクでは香料用に栽培されています。

・レダ

白色の花弁の縁にはっきりとした鮮やかな赤色の覆輪が入ります。花の中心にはボタンアイも見られ可愛らしい印象です。ダマスク系の中では丸みを帯びた葉が特徴的です。耐病性、耐寒性にすぐれた強健種です。白鳥に姿を変えたギリシャ神話のゼウスが白鳥に姿を変え、スパルタ王の妻であるレダを誘惑した物語は、ルネサンス時代から知られていました。

バラの種類~ロゼット咲きのバラ~クォーターロゼット咲き

・ラ・ヴィル・ドゥ・ブリュッセル

花の中心部がやや濃いピンク色の花は、時間とともに退色していきます。 花弁の枚数が多く、ボタンアイとなり、ダマスク系等らしい香りがします。 うどんこ病には注意が必要です。ベルギーの首都「ブリュッセル市」が花名となっています。

・マダム・アルディ

純白の美しい花弁に、花の中心のグリーンアイも魅力的です。半横張り性で、耐寒性に強い品種です。レモンのような香りがします。

・ポンポン・ドゥ・ブルゴーニュ

濃いローズピンクの花は可愛らしい小さく、ポンポン咲きからロゼット咲きになります。古くから存在する品種で、ロサ・ケンティフォリア・パルウィフォリアと呼ばれていたこともあるそうです。小型でまとまりがよいので、鉢栽培に向いています。乾燥によりハダニが発生しますので注意が必要です。「葉(花弁)が小さいバラ」という意味をもっています。

・クリスタータ

ピンク色の花は3~5輪の房でうつむきかげんに咲きます。花弁が繊細で傷みやすいため、雨を避けて栽培します。クリスタータとは「冠毛がある」という意味ですが、別名「シャポー・ドゥ・ナポレオン」と呼ばれています。立派なガクの形がナポレオンの帽子に例えられ、こちらの名前が知られています。

・ニュイ・ドゥ・ヤング

深い赤紫色の花弁の中心の黄色いしべが映えます。咲き進むと明るい紫色に変わります。直立性の株は小さくまとまるので、鉢植えに向いています。 春のうどんこ病に注意が必要です。イギリスの詩人エドワード・ヤングを崇め尊敬していた育種家のラフェイが、「夜の瞑想」に因んで名前をつけたといわれています。

・ウィリアム・ロブ

咲き始めは濃い赤紫色の花は徐々に青紫色に変化します。花弁の裏側は白く筋の入ることもあります。耐病性のある強健種で、生育は旺盛で伸長力もあります。半日陰でも栽培できます。植物学者のウィリアム・ロブは、 イギリスのヴィーチ商会のプラントハンターとして知られています。

・ローズ・ドゥ・レッシュ

花色は濃いローズから赤紫色に変化し、ロゼット咲きからポンポン咲きに変わるポートランド系です。オールドローズ愛好家の中でも高く評価されているバラだそうです。寒さに強く半日陰でもよく生育し、夏から秋の終わりごろまで繰り返し咲きます。

・ジョーヌ・デプレ

クリーム色にアプリコットや淡いピンクが混ざる色合いをしています。ノアゼット系の中で最もよく伸びる性質をもっていますが、ヨーロッパのオールドローズにはそれまではこの特質もなかったそうです。別名「デプレ・ア・フルール・ジョーヌ」と呼ばれています。

・ボルチモア・ベル

丸い蕾はピンクですが、蕾が開くと純白の花色で開花します。茎の先端の 花をつける部分が細いので垂れ下がるように咲きます。よく伸びるつるバラで遅咲きです。

・コーネリア 

淡いアプリコットピンクの花はシベを見せながらを株一面に咲かせます。花もちがよく、枝にはトゲが少なく、濃い緑の葉も美しい品種です。半横張り性で、低いフェンスでの栽培に向いています。株は徐々に大きくなります。病気に強いですが、ハダニには注意が必要です。野生種のロサ・モスカータの遺伝子を交える為、ツンとするようなムスクの香りがあります。

バラの種類~ロゼット咲きのバラ~クォーターロゼット咲き

クォーターロゼット咲き

・ベル・イシス

淡いピンクの美しく整った花形にボタンアイが可愛らしい印象です。ガリカローズの中ではややトゲが多く、強いミルラ香があります。デビッド・オースチンが作り出したイングリッシュローズ「コンスタンス・スプライ」の交配親で、ミルラ香はベル・イシスを通して、多くのイングリッシュローズに引き継がれていきました。エジプトの神話に登場する女神「美しいイシス」の意味を持っています。

・マダム・ゾエトマン(マダム・ゾットマン)

淡いピンクを感じる白色の花弁で、花の中心部はボタンアイになり、たまにグリーンアイを見ることもできます。甘いダマスク香が強く感じます。細い枝が曲げやすいため、アーチなどに誘引することができ、狭い場所での栽培に向いています。

・メイドゥンズ・ブラッシュ

淡いピンクの花弁で、耐寒性や耐病性に優れています。花姿がよく似た「グレート・メイドゥンズ・ブラッシュ」よりも少し小さいサイズです。「乙女のはじらい」を意味する花名をもっています。別名「キュイス・ドゥ・ナンフ」と呼ばれており、妖精の太腿を意味する言葉で、フランス語ではピンク色を細かく区別するときに使われているそうです。

・ソフィー・ドゥ・バビエール

アルバ系の中では珍しいはっきりとした濃いピンクが特徴です。花つきがよく、トゲもほとんどありません。つるバラのようによく伸長し、窓回りやパーゴラなどに誘引しての栽培に向いています。

・フェリシテ・パルマンティエ 

淡いピンクの花弁が中心につれて濃いピンクを包み込んでいるようでやさしい印象です。花の直径5㎝ほどの小輪花ですが、花弁枚数は約80枚の整った美しい花姿をしています。香りがすばらしく強健種です。ベルギー人のパルマンティエの作出品種で、花名にある「フェリシテ」は「幸福」を意味する女性名だそうです。

・ファンタン・ラトゥール

淡いピンクの花弁がぎっしりとつまっている可愛らしい印象です。カップ咲きからクォーターロゼット咲きに変化します。トゲが少なく、耐寒恵性があり、半日陰でもよく育つ大型品種です。ランスの画家アンリ・ファンタン=ラトゥールに因んだバラです。

・コント・ドゥ・シャンボール

濃いピンクの花弁で、蕾の期間が長く花柄が短く花が上を向くのが特徴です。半つる状に伸び倒れやすいので、アーチやトレリスなどに誘引しての栽培に向いています。ヨーロッパにチャイナローズが導入されて最初に作られた系統がポートランド系統と言われています。フランス語でシャンボール伯爵という意味の花名ですが、コント・ドゥ・シャンボールは、フランスのブルボン王朝の王位継承者だった人物です。

・ラマルク

花弁の中心がクリームがかる美しい白バラです。花の直径約8㎝と大きく、重みで少し垂れ下がるように咲きます。伸長力は旺盛で、少し返り咲きます。

・ルイーズ・オディエ

濃いピンクの花は数輪の房咲きで、よく返り咲きます。ブルボン系で最も伸長力があり、トゲもないので扱いやすいです。枝がよく伸びるので、アーチやトレリスに支えての栽培が向いています。耐病性が弱く、定期的な薬剤散布が必要です。花の形も香りも優れています。

・レーヌ・デ・ヴィオレット

咲き始めはやや明るい赤紫色で、徐々に青みを帯びる花色に変化します。秋にも返り咲き、よく開花します。枝にほとんどトゲがなく扱いやすく、香りもすばらしい品種です。病気全般に注意が必要です。花名は「スミレの女王」という意味を持っています。